食中毒対策「放射線照射」が日本では禁止理由

こんにちわ。北見尚之です。

暑い夏によく発生する食中毒ですが、サルモネラ大腸菌O157など細菌による食中毒が原因でその件数は増加します。
海外では食品への放射線照射が食中毒予防に効果を上げていますが日本ではこれが禁止されています。

放射線照射は、放射線の透過力の強さと生物のDNAが放射線に弱いことを利用した処理技術で、温度を上げずに細胞分裂を止め殺菌や殺虫などが出来ます。
食品への照射は、海外では農産物の保存や食中毒防止などを目的として使われています。
食中毒防止に効果があるのは、食品内部の細菌もしっかり殺菌できるためで、米国では加熱不十分のハンバーガーが原因700人以上が食中毒を発症し4人が死亡した事件をきっかけに牛肉への放射線照射が始まりました。
ハンバーグなどのひき肉料理は中まで加熱されているか分かりにくいが、照射処理されたひき肉であれば多少生焼けだったとしても安全に食べられる。

日本では昭和47年にジャガイモの芽止めを目的とした照射が許可されたが、一般食品への照射を禁止していた。
まだ照射の安全性が分からなく安全と分かれば順次許可していく方針だったが、ジャガイモ以外の他の食品への照射が検討されることなかった。
日本でも生肉や加熱不十分な肉料理が原因で死者が出る食中毒は繰り返されているが食品衛生法で禁止されたままで検討もされていないのが現状である。

覚えている人も多いと思うが、牛レバーは内部にいる細菌が殺菌できないことで生食での提供が禁止されているが、照射によって内部の殺菌が可能なことが分かっている。
安全にレバーを生食できる方法があるのに、食品衛生法で禁止されているため生レバーが食べられない状況が今でも続いている。

照射は色や香り、栄養素が高品質に保たれることから海外ではスパイスやハーブの殺菌にも使われることが多い。
日本でも全日本スパイス協会が照射の許可を要請しし、審議会で照射について検討し科学的知見の収集と消費者の理解を進めることを今後の課題としていたがその後の進展はない。
ただ、農産物を海外に売り込みたい農林水産省は今年度に検疫処理のために照射技術の研究に予算を付けている。高級果実を高い品質のまま輸出するのに役立つ可能性が期待されるからである。

照射によって安全性を保っている海外の食品は日本では禁止のため輸入時に厳しくチェックされ、照射が判明した場合は回収し廃棄される。
照射が判明したときの回収・廃棄コストは企業負担だが、その結果が商品の価格に転じるなら消費者が負担していることになる。また照射の有無を調べる検査も税金で行われている。

適切に照射された安全な食品が廃棄されるのはなんとももったいない気がする。また、照射によってスパイスは豊かな香りを保ち、南国のフルーツはフレッシュのまま輸入ができるので照射は消費者にとってもメリットがあるはずである。
海外では照射食品にマークをつけ消費者が選んで買えるようになっている。日本でも選びたい消費者が選択できるよう、照射を原則禁止した食品衛生法を見直して消費者に選べる権利を与えてほしいものだ。
また、個人的な意見になるがレバ刺しは早く解禁してほしいところです。

北見尚之