携帯電話料金は引き下げの余地はあるのか

こんにちわ。北見尚之です。

日本の携帯電話料金は国際的に高すぎるという指摘がされています。
官房長官の発言でも、携帯電話の料金に関して「あまりにも不透明で、他国と比較して高すぎるのではないかという懸念がある。4割程度引き下げる余地はある」と語っている。
根拠に関しては、先進国が加盟する経済開発協力機構の平均よりも約2倍高いことと、新たに参加する楽天が既存の企業の料金よりも半額程度低い料金設定を行うことを挙げています。

では、日本の携帯電話料金は本当に国際的に高く4割も引き下げる余地があるのだろうか。
各国では、データ通信容量によって料金が大きく違いがあり月間のデータ容量が2GBの場合では、一番高い料金はニューヨークで6,187円で2番がソウルの3,819円、東京は3番目に高く2,680円である。
ちなみに最低の料金はパリの1,915円で東京と比較すれば36%程度高くなる。5GBの場合でも、同様にニューヨークが最も高く日本は4位となる。

だが、20GBとなると様相は一変し、東京はデュッセルドルフの9,845円に次ぐ2番で8,642円で、最低がロンドンの2,947円となる。
どうして都市によってこれだけの格差が発生するのは定かではないが、特徴的なのは東京の料金はデータ容量が大きくなるほど高くなっていく。
この結果を総合的に見ると2GBでは、平均が3,179円で東京の料金は約19%高く、20GBでは平均が4,575円で、東京の料金は約89%高いことになる。

この事象から考えられるのは、高容量で高料金を徴収し低容量で料金を引き下げ初心者を勧誘する狙いがあるのかもしれません。
高容量の料金を引き下げれば、低容量の料金が上昇する可能性があり単純に引き下げを求めるのではなく料金体系の根本を見直す必要があるかもしれません。

電話産業は認可産業で政府が直接価格設定に介入することはできません。ただ、料金が高止まっているのは、何らかの業界内での暗黙の談合が行われていると思うのが自然な流れです。
直接的な談合がなくても競争企業を見ながら料金やサービス設定を行っているのは間違いないでしょう。

そうした事態を是正するためにも、新規参入の促進が必要で楽天など新規の低料金の携帯電話会社の参入があったがまだ価格破壊までには至っていない状況です。
料金を巡る議論の中でもう一つ留意するポイントが携帯大手3社は高収益を上げていることになり、超過利得があるのであれば利用者に還元すべきであるということになる。
官房長官も「国民の財産である電波を利用した事業で、携帯電話会社は過度な利益をあげるべきではない」と利益還元による料金引き下げの必要性を指摘しています。

ただし、携帯産業は成長産業で現在はさらに通信速度の速い次世代の5G方式への対応が迫られていて、巨額の設備投資の資金が必要となってくる。
料金引き下げには政府の政策的対応が必要となり携帯産業の明確な将来ビジョンを示す必要があるでしょう。

とはいえ、何でこうも各社の料金形態が複雑で縛りなどのルールが多く比較しずらいのは何とかして欲しいものです。

北見尚之