セルフレジ導入で利用者だけでなく店員からも不満が、、、

こんにちわ。北見尚之です。

新型コロナウイルスが世界的に蔓延した2020年3月以降、人手不足の解消や業務の省力化なども相まって、
全国の飲食店やスーパー、コンビニ、公共施設では「非対面・非接触」を推進する動きが急速に広がっていきました。
そのひとつが「セルフレジ」の導入です。

利便性の向上や事業者の経費削減に一定の成果を上げているものの、
商品のバーコード読み取りから会計操作までを客自身が行なうため、
慣れない中高年層を中心に戸惑いの声は多いです。

ただ、戸惑っているのは来店客ばかりではなく、街中のスーパーや飲食店では、
ルフレジでの精算を巡るトラブルに店員側も苦慮しているという現実があり、
利用者や従業員からの評判は必ずしも良いとは限りません。

とあるスーパーではここ2年で急速に導入が進み、レジ打ちのパートの大半が“配置換え”されました。
商品の品出しや陳列、食品加工など、いわゆるバックヤード業務に回され、毎月の賃金が下がった人も少なくありません。
一方で、レジのサポートとして残った人材も、日々のセルフレジの操作補助で、相当ストレスが溜まることも。

コロナの感染拡大防止(非接触・非対面)を契機に加速した「セルフレジ」の導入ですが、
今では当たり前の光景となったが、セルフレジでの精算に苦戦する客は少なくなく、
不慣れな機械の操作にまごつき、苛立ちを店員に向ける客もいます。

商品バーコードの読み取りから精算まで、すべてお客様が行なう「フルセルフレジ」を採用していても、
「バーコードが読み込めない」や「教えるヒマがあるなら、あなたがやって」と言ってくる方も少なくないようです。
1人に対応すると、それを見ていたお客様が次から次に「こっちもやって」となってしまい、
有人レジより余計な手間が増えることもあるとか。

また、メーカーによって異なるセルフレジの操作も、混乱に拍車をかける要因で、
同じ商品を複数購入した際、操作によって一度で精算できるレジもあれば、
ひとつずつバーコードを読み取らなければならないレジもあります。
こういった点が利用客にも大きなストレスにも繋がっています。

一方で、セルフレジを悪用した「万引き」も増加傾向にあるといい、
バーコードの読み取りミスなどから、誤って精算前の商品を持ち出してしまったというケースが増えています。
都内では、「お前ら、俺をドロボー呼ばわりするのか! ふざけるな!」と声を荒らげる初老の男性と困惑する店員という場面もあったようです。

店側も、マニュアルで定めた特に不審なケースではお客様に声掛けしますが、
うっかりの場合もあるので、判断がとても難しく、場合によっては「あらぬ疑いをかけられた」と
お客が怒り出すなどしてトラブルになりやすく、悩ましい問題でもあります。
このように精算を巡るトラブルは、有人レジ時代に比べて圧倒的に増えているようです。

ルフレジは、基本的に値札のバーコードを読み込むポスレジ方式で、バーコードを正確に読み取れば問題ないですが、
不慣れな利用者には難しい時もあり、補助や不正防止のために複数名の店員をレジ付近に配置していても、すべてに対応できていないのが現状です。
誤って、レジを通過していない商品を持ち出してしまったお客様に声掛けする際、このようなトラブルに発展することがあります。

和歌山市のスーパーで、商品に「半額シール」を不正に貼り付け、セルフレジで精算した男性が電子計算機使用詐欺の容疑で逮捕されたことが話題になりました。
そうしたセルフレジを悪用しようとする行為を監視しながら、単なるうっかりではないか?を気遣うことへの負担は決して小さくないでしょう。

かつての不正は手持ちのエコバッグや衣服に商品を隠す、あるいはレジで一部商品だけ精算し、カートの下に隠した商品を未払いのまま持ち帰る「カゴ抜け」の手法が主流でした。
それに比べ、セルフレジでの不正を発見するのは難しく、レジに防犯カメラが設置されていても「うっかり精算できなかった」と言われればそれまでになってしまいます。

高齢者を中心に利用者からも不満の声が出ていて、

「セルフレジでもたついていると、後ろに並ぶ客の視線がつらい」(70代女性)
「会計だけでなく、駐車券の発行などセルフレジでは対応できないことが多く、結局、店員を呼ぶことになる」(60代男性)

などや、どの店でも私が操作していると店員が駆け寄ってきて恐らく、「レジの使い方が分からない爺さん」「精算ミスをする」と思われていると感じ、
これが不愉快でたまらないや、初見の店で、勝手が違うセルフレジの操作にまごつき、「後ろの若い客から舌打ちされた」などで、
その店に行かなくなってしまい、気軽に買い物が出来なくなるなどの障害もあるようです。

昨今では、スーパーやコンビニ以外でも、あらゆる場面で「セルフ化」が当たり前となってきており、空港でも有人カウンターで搭乗手続きをし手荷物を預ける従来のやり方が一変し、
ほぼすべてが自動化され、チェックインから荷物の預け入れもセルフになっていてやり方が分からない高齢の方も多く長蛇の列になってしまうことも。

セルフ化と同時進行する「キャッシュレス化」について、喫茶店でメニューにQRコードがあり、先ずはそれを読み取ってオーダーに悪戦苦闘したものの注文できなく、
店員を呼んでも、やり方を説明するだけで、口頭でのオーダーは頑なに応じてもらえないというケースもあったようです。

人員削減等のニーズから、今後もセルフレジの需要は拡大する中で、店舗と利用者の間で、思わぬ行き違いが生じることも多々あり、
スーパーやコンビニなどでバーコードのない「3割引」「半額」シールだけが商品に添付されていた場合、セルフレジのバーコードと対応していないこともあります。
精算時のトラブル防止のため、セルフレジでは必ずレシート・領収証を受け取って、間違いがないかチェックするということを必要かもしれません。

いまや日本国内でも、大手衣類量販店のように「かごを読み取り機に置くだけで精算」できるシステムもあり、企業の利便性追求への道は続くのでしょうが、
消費者にも店員にも優しいシステムや運用のあり方を検討していくことも重要になります。

この先、ますます進むであろう「非対面・非接触」「キャッシュレス」化に向けた課題はまだまだ多そうですね。

北見尚之