こんにちわ。北見尚之です。
今ではリモートワークは当たり前になってきましたが、
もしあなたが新入社員から「カメラオンにする必要なくないですか?」と言われたらどうしますか?
部内ルールが、原則カメラオンだったとしても
「理由が分からないんです」「ほかの新入社員も同じことを考えているかもしれません。でも口にしないだけで」
と言われそうです。
カメラオン・オフの問題は技術的な話ではなく、組織文化や人間関係の根本に関わります。
人間のコミュニケーションは「言語データ」と「非言語データ」があります。
「言語データ」とは言葉や文章による情報伝達で、
一方「非言語データ」とは表情、声のトーン、身振り手振りなど言葉以外の要素になります。
この新入社員は「言語データ」のみで十分だと考えていることになります。
つまり、発言内容や議事録などの「言語データ」さえそろっていれば、「非言語データ」は不要と判断しているのです。
確かに「言語データ」だけでも情報は伝わりますが、しかし組織とは情報だけを交換する場ではありません。
ではなぜ「顔」を見る必要があるのでしょうか。人間の脳は「顔」に強く反応するよう進化してきました。
赤ちゃんは生後わずか数時間で、人の顔のパターンに特別な関心を示すという研究結果があります。
つまり私たちは「顔」を見ることで、相手の感情や意図を読み取るよう生物学的にプログラムされているのです。
なぜ営業は顧客のところへ、わざわざ顔を出しにいくのか?
電話やメールで十分だと思う人はいますが、実際に「顔」を出したほうが成果は安定します。
とある事例では、中堅社員がひと月以上にわたってカメラをオフにしたまま参加し続け、
理由を尋ねると「自宅のプライバシーが気になる」とのことでした。
しかし、ある日その社員がカメラをオンにした途端、会議の雰囲気が大きく変わり、
表情や反応が見えることで、他のメンバーが彼の意見に積極的に応じるようになりました。
本人もそれを実感し、以後は背景をぼかす機能を使いながらカメラオンで参加するようになったそうです。
人間には、情報を受け取る際に優先的に使う感覚がありこれを「優位感覚」と呼びます。
これを知ることで、その人がどの感覚に最も敏感に反応するかを把握する手掛かりになります。
経営者や権威者は「優位感覚」を「視覚」という意見が多いといわれます。
なぜなら、常に会社のビジョンを頭に思い描いているからで、
常に未来をイメージして経営している社長や経営陣、幹部は「視覚優位」になりやすいのは当然かもしれません。
「カメラオフでいいじゃないか」と主張する人は、自分が「聴覚優位」だからかもしれないが、
会議にはさまざまな優位感覚を持つ人が参加していて、
多くの参加者が「視覚優位」ならカメラオフはコミュニケーション効率を下げることになります。
信頼関係の構築には「相互開示」が欠かせません。お互いの情報を開示し合うことで関係は深まります。
カメラオフは情報の「非開示」を意味することになり相手に自分を見せないことは、信頼関係構築の妨げになりかねません。
では、「カメラオンにする必要なくないですか?」の質問に上司はどう答えるべきなのか。
単に情報を交換するだけなら、確かにカメラオフでも構わないかもしれないが、
会議は単なる情報交換の場ではなく、信頼関係を築く場でもあります。
顔の表情から読み取れる微妙な反応は、言葉だけでは伝わらず、多くの人は「見る」ことで情報を理解します。
なので、
「君の表情が見えなければ、発言の真意が伝わりにくくなってしまう。
それに、顔を見せ合うことで相互理解が深まり、組織としての一体感も生まれる。
だから、できるだけカメラオンで参加してほしい」
などが良いかと思います。
Web会議の「カメラオン」は単なる形式やルールではなく、人間のコミュニケーションの本質に根ざした重要な要素です。
しかし、もっと効果的なのはオンラインではなく、リアルに集まることです。
顧客相手ならともかく、同じ職場のメンバーであればリアルで会う、そのほうがはるかに「非言語データ」を相互に開示できます。
もし言語データのみで意見交換をしたいのなら、Slack、Chatworkなどのビジネスチャットのほうが断然効果的です。
「チャットは慣れていないんで」などと上司が言い訳するのなら、
新入社員から「カメラオンする必要なくないですか?」といわれても何も言い返すことはできません。
単に自分が慣れているコミュニケーションスタイルに新人を合わせようとしているだけで、
そんな自分本位の姿勢は、今の時代では支持されません。
現在はマルチコミュニケーションの時代で、目的やシチュエーション別に合わせられるよう、
新入社員だけでなくベテラン社員も上司も色々なツールやコミュニケーションに慣れていかなければなりませんね。
北見尚之