Web会議でカメラオンにする必要はあるのか?!

こんにちわ。北見尚之です。

今ではリモートワークは当たり前になってきましたが、
もしあなたが新入社員から「カメラオンにする必要なくないですか?」と言われたらどうしますか?

部内ルールが、原則カメラオンだったとしても
「理由が分からないんです」「ほかの新入社員も同じことを考えているかもしれません。でも口にしないだけで」
と言われそうです。

カメラオン・オフの問題は技術的な話ではなく、組織文化や人間関係の根本に関わります。
人間のコミュニケーションは「言語データ」と「非言語データ」があります。
「言語データ」とは言葉や文章による情報伝達で、
一方「非言語データ」とは表情、声のトーン、身振り手振りなど言葉以外の要素になります。

この新入社員は「言語データ」のみで十分だと考えていることになります。
つまり、発言内容や議事録などの「言語データ」さえそろっていれば、「非言語データ」は不要と判断しているのです。
確かに「言語データ」だけでも情報は伝わりますが、しかし組織とは情報だけを交換する場ではありません。

ではなぜ「顔」を見る必要があるのでしょうか。人間の脳は「顔」に強く反応するよう進化してきました。
赤ちゃんは生後わずか数時間で、人の顔のパターンに特別な関心を示すという研究結果があります。
つまり私たちは「顔」を見ることで、相手の感情や意図を読み取るよう生物学的にプログラムされているのです。

なぜ営業は顧客のところへ、わざわざ顔を出しにいくのか?
電話やメールで十分だと思う人はいますが、実際に「顔」を出したほうが成果は安定します。

とある事例では、中堅社員がひと月以上にわたってカメラをオフにしたまま参加し続け、
理由を尋ねると「自宅のプライバシーが気になる」とのことでした。

しかし、ある日その社員がカメラをオンにした途端、会議の雰囲気が大きく変わり、
表情や反応が見えることで、他のメンバーが彼の意見に積極的に応じるようになりました。
本人もそれを実感し、以後は背景をぼかす機能を使いながらカメラオンで参加するようになったそうです。

人間には、情報を受け取る際に優先的に使う感覚がありこれを「優位感覚」と呼びます。
これを知ることで、その人がどの感覚に最も敏感に反応するかを把握する手掛かりになります。

経営者や権威者は「優位感覚」を「視覚」という意見が多いといわれます。
なぜなら、常に会社のビジョンを頭に思い描いているからで、
常に未来をイメージして経営している社長や経営陣、幹部は「視覚優位」になりやすいのは当然かもしれません。

「カメラオフでいいじゃないか」と主張する人は、自分が「聴覚優位」だからかもしれないが、
会議にはさまざまな優位感覚を持つ人が参加していて、
多くの参加者が「視覚優位」ならカメラオフはコミュニケーション効率を下げることになります。

信頼関係の構築には「相互開示」が欠かせません。お互いの情報を開示し合うことで関係は深まります。
カメラオフは情報の「非開示」を意味することになり相手に自分を見せないことは、信頼関係構築の妨げになりかねません。


では、「カメラオンにする必要なくないですか?」の質問に上司はどう答えるべきなのか。
単に情報を交換するだけなら、確かにカメラオフでも構わないかもしれないが、
会議は単なる情報交換の場ではなく、信頼関係を築く場でもあります。
顔の表情から読み取れる微妙な反応は、言葉だけでは伝わらず、多くの人は「見る」ことで情報を理解します。

なので、
「君の表情が見えなければ、発言の真意が伝わりにくくなってしまう。
それに、顔を見せ合うことで相互理解が深まり、組織としての一体感も生まれる。
だから、できるだけカメラオンで参加してほしい」
などが良いかと思います。

Web会議の「カメラオン」は単なる形式やルールではなく、人間のコミュニケーションの本質に根ざした重要な要素です。
しかし、もっと効果的なのはオンラインではなく、リアルに集まることです。
顧客相手ならともかく、同じ職場のメンバーであればリアルで会う、そのほうがはるかに「非言語データ」を相互に開示できます。

もし言語データのみで意見交換をしたいのなら、Slack、Chatworkなどのビジネスチャットのほうが断然効果的です。
「チャットは慣れていないんで」などと上司が言い訳するのなら、
新入社員から「カメラオンする必要なくないですか?」といわれても何も言い返すことはできません。
単に自分が慣れているコミュニケーションスタイルに新人を合わせようとしているだけで、
そんな自分本位の姿勢は、今の時代では支持されません。

現在はマルチコミュニケーションの時代で、目的やシチュエーション別に合わせられるよう、
新入社員だけでなくベテラン社員も上司も色々なツールやコミュニケーションに慣れていかなければなりませんね。

北見尚之

なぜ日本の働き方は「時間軸」から抜け出せないのか?

こんにちわ。北見尚之です。

最小限しか働かない自由が注目される一方で、もっと働きたいと考える人も当然いるでと思います。
もっと働きたいという人の中には、仕事が好きで本心からそう思っている人もいれば、
生活のために働かざるを得ないという人もいるはずです。

働くことへの向き合い方は、人それぞれです。
仕事が嫌で仕方ないという人もいれば、仕事が好きで長時間働いても苦にならないという人もいます。

しかし、もっと働きたいと望む人が皆、仕事が好きで楽しんでいる人とは限りません。
本当は仕事が嫌いでも、もっと働きたいと望む自己矛盾したケースもあります。
より多くのお金を稼ぐ必要があるため、働かざるを得ない状況に置かれている人です。

自分が生活費を稼がなければ家族を養っていけない場合、いまの収入で足らなければ、
もっと仕事をするしかありません。
心から働きたいわけではなく、義務感や責任感からそう思っている、
あるいは自身の意思による選択の余地すら与えられていない状況に置かれている人は一定数います。

一方で、心の底から仕事が楽しくて仕方がないという人もいます。
仕事を楽しいと感じている人は、時に労働時間の規制を邪魔に感じることがあるかもしれません。
本心から働きたいと考えている人にとっては、時間を気にせず仕事できる環境が望ましいはずです。

意欲ある人には思う存分仕事に集中してもらい、人手不足の解消に寄与してもらうことには一定の意義があります。
もし、本心から働きたいと考える人だけ抽出して適用できるのであれば、
労働時間規制の緩和も有効な選択肢の一つになるかもしれません。

ただ、労働時間規制の緩和には注意点しなければならない点もあり、
1つは、本人が自らの意思で働くことを選択し、元気なつもりでいても、
働き過ぎがいつのまにか心身を疲弊させて健康を害する事態も想定されることです。

もう1つは、家庭にかかる工数です。
どんな家庭でも、家事や育児、介護といった工数は必ず発生します。
一方で共働き世帯は徐々に増え、いまや専業主婦世帯の約3倍ですが、
性別役割分業の見直しが進みつつあります。
必然的に、これまでのように仕事にだけ100%の時間を費やして専念することが容易ではなくなってきています。

自分以外に家のことを全て担ってくれる人がいなければ、寝食を忘れるような働き方はできません。
家族と分担してこなすとしても、仕事に没頭しながら家のことまですれば、
睡眠時間などが削られて健康状態を悪化させる懸念もあります。

ただ、働き手自身が無理しないように心がけさえすれば、適度な休息を確保することは可能です。
また、少なくなっているとはいえ専業主婦や主夫世帯であることが最適というバランスのご家庭もあると思います。
働くことが好きな人が、健康を維持しながら仕事に没頭できるかどうかについては、
家庭内での工夫次第である程度制御できる面があります。

それに対して、もっと働きたいと言いながら、働かざるを得ないのが本音というケースについては事情が異なります。
働きたい理由が自発的なものではなく、必要な収入を得るという外部要因であるため、
働き手自身の心がけや家庭内の助け合いでは対処のしようがないからです。

闇雲に収入が増やせるようにと労働時間規制を緩めてしまうと、
せっかく生まれた長時間労働是正の流れに逆行し、これまでの政策が台無しとなってしまう懸念があります。

労働時間を10%伸ばせば、得られる給与もその分増えるのは間違いありません。
しかし、問題は「給与増=時間増」という時間軸ありきの思考が、
職場の中で疑いもなく受け入れられてしまっている点です。

もし、時間当たりの単価を10%上げることができれば、労働時間を変えずに給与を10%増やすことができます。
逆に、給与を維持したまま労働時間を10%減らすことも可能です。この考え方こそが、本来の働き方改革に他なりません。

時間単価を上げるには、より短い時間で高い成果を出せるよう文字通り働き方を変える必要があります。
ただし、社員に過度な緊張感を与えるなどして働き手により多くの負荷をかけることで、
気合や頑張りといった労力をダッシュさせてしまっては疲弊してしまいます。
変えるのは業務の進め方であり、仕組みの工夫改善によって、成果が出るスピードを加速させていくということです。

時間当たりの成果を増やして生産性が上がれば、給与の時間単価も引き上げられます。
それをどう実現させていくかに、工夫と知恵と労力を注ぎ込むことが求められます。
生産性の向上なくして給与を引き上げられるのは余力がある会社だけですし、
生産性向上が伴わなければ、やがてその余力にも限界がきます。

時間は有限であり、決して無尽蔵な資源ではありません。
働き方改革で求められるのは、限られた時間の中で出せる成果をいかに高められるか。
成果軸ありきへと切り替えることなく、労働時間規制の緩和か強化かといった時間軸ありきの視点に立っている間は、
いつまでたっても働き方の根本的は変わらずとなってしまいそうですね。

北見尚之

「うどーなつ」販売に至る背景とは?!

食品業界では、商品の特性上、廃棄ロスは長年の課題です。
しかし近年、独自の取り組みによってこの課題を克服しつつある企業があります。

その一つが、うどんチェーン大手の丸亀製麺です。
丸亀製麺は、2024年に新商品「うどーなつ(UDONUTS)」を発売しました。
うどんの生地を活かしたドーナツ風の商品で、販売開始から大ヒット商品となりました。
公式には「新鮮なうどん生地で作る」としており、店舗で余った麺そのものを再利用したわけではありません。
ただし、うどんの素材を新たに活かす発想から、食品ロス削減の啓発にもつながったと評価されています。

同社の食品ロス対策は「うどーなつ」だけにとどまらず、
・茹で麺管理表を用いて過去データを分析し、最適な調理量を算出
・経験の浅いスタッフでも効率的に調理できる仕組みを整備
・廃棄された麺を豚の飼料に再利用するリサイクルループを構築
・店舗への生ごみ処理機導入も推進
これらにより「できたてのおいしさ」と「廃棄削減」を両立させています。

丸亀製麺の「うどーなつ」は、製麺の際に余った麺生地を有効活用するために考案されたメニューで、
製麺工程で余った麺生地を無駄にせず、おやつとして提供することで食品ロスを減らす取り組みの一環となっています。

しかし、実は「うどーなつ」は食品ロス対策だけで販売されたものではなく綿密な戦略を立てて販売されました。
「うどーなつ」は、うどん店が店舗で手づくりドーナツ、しかもうどん粉からできている、
独自のもちもち食感、といった驚きを提供すると予定調和を外した商品になります。

これにドーナツ市場も敏感に反応し、25年6月にはミスタードーナツがもち粉と米粉を使用した「もっちゅりん」を発売、
店舗に行列ができるほどの大ヒット商品になりました。
「うどーなつ」は、食感にこだわったドーナツという市場を盛り上げるきっかけにもなったかもしれません。

丸亀製麺マーケティング戦略の軸は「人のぬくもりある食体験」「驚きとわくわく」の2つを提供することです。
生活者調査から捉えたこの2つのインサイトに、エンターテインメント性、人の力、五感への訴求を掛け合わせているのが、
丸亀製麺マーケティングの強みで、これを体現する施策として、
「うどーなつ」の販売、麺職人の全店配置、オープンキッチンでの調理、ワカメなどのトッピングの無料提供が生まれました。

「うどーなつ」販売の背景には、女性・子ども・若年層を新規顧客として獲得したいブランドの狙いもあり、
これを丸亀製麺マーケティング軸にのっとって実現する施策として最も効果が高いと見込んだのが「うどーなつ」です。

結果、発売から3カ月で約700万食を突破する史上最大のヒット商品となり、
25年9月には2000万食を販売しており、うどんや天ぷらといった主要商品の間接的な売り上げにも貢献しています。

加えて、従来であれば小腹がすいたときにコンビニエンスストアファストフード店に足を運んでいた人たちの来店動機になり、
午後3~6時というアイドルタイムや夜にも集客できるようになりました。
生活者が商品やサービスを思い出し、ブランドを選択してもらう入り口となるジャンルを新たに設けることに成功し、
狙い通り女性や子連れのファミリー層、若年層といった新規顧客層の来店が増えました。

どんとドーナツという、一見意外な組み合わせですが、うどんを活用した新しい市場の開拓をし、
丸亀製麺ならではの体験を掛け合わせ、ドーナツという発想が生まれました。

フードロス問題の解決も大事ですが、改めて新たに市場を開拓する挑戦を続けていくことが重要だと思い知らされますね。

北見尚之

あと2ヶ月でWindows10のサポート終了。

こんにちわ。北見尚之です。

Windows10のサポートは2025年10月14日に終了となります。
サポートが終了しても実際には使えますが、継続使用のリスクは甚大です。

Windows10をサポート終了後も使い続けることは、一見すると現状維持に見えます。
しかし、これは次のようなリスクを抱える危険な選択肢となります。

・ウィルス感染やハッキングされる可能性が高まる
・最新のアプリケーションやソフトウェアが使えない
・OSのアップデートやバージョン管理ができない

特にセキュリティ面での脆弱性が放置される影響は大きく、
サイバー攻撃や情報漏洩のリスクの高まりは、業務環境全体の安全性の揺らぎにも繋がっていきます。

最も大きなリスクとなるのはセキュリティ対策の欠如です。
新たに発見される脆弱性に対してMicrosoftからの修正パッチが提供されなくなることは、
攻撃者にとって格好の標的となります。

過去には、2017年に発生したWannaCryランサムウェアの攻撃では、
サポート終了後のWindows XPが大きな被害を受けました。
Windows10でも同様に、OSの脆弱性を突いたマルウェアサイバー攻撃が急増する可能性があります。

特にクラウドサービスを活用するプログラマーやリモートワークを行うエンジニアにとって、
Windows10の継続利用は非常に危険な選択肢となります。

またWindows10のサポート終了後、現行の開発ツールや業務アプリケーションが、
Windows10非対応となる可能性もあり、しかもOSの更新は一切行われなくなります。
これにより、ソフト・ハード、システム、コスト面でかなりの影響が生じる可能性があります。

Windows10のサポート終了に伴うWindows11への移行は避けられない課題です。
しかし、すべてのPCがWindows11に対応しているわけではなく、
まずは、現在使用しているPCがWindows11のシステム要件を満たしているかどうかを確認が必要になります。

一部のアプリケーションやソフトウェアは、Windows10専用で設計されており、
Windows11では動作しない可能性があります。
特に企業の業務アプリや開発ツールにおいて、Windows11での動作保証がない場合、
アップグレードが業務に支障をきたすことも懸念されます。

また、アプリやソフトウェアが影響を受ける可能性もあり、
Windows 11対応しているのかや互換性の問題に直面する可能性が高いです。

安定した環境を確保するにはWindows11への移行は、
セキュリティ強化と業務効率維持の観点からマストの対応とりますが、
いざ移行となると結構面倒だったりするんですよね。。。

北見尚之

ホワイトすぎても退職する若者たち。

こんにちわ。北見尚之です。

働き方改革や若手人材の不足を背景に、働きやすく、上司も優しい「ホワイト企業」が増えている一方で、
職場や仕事が「ゆるすぎる」「ここにいたら成長できない」と危機感を感じて辞めていく若者が増えていようです。

とある調査結果では、入社3年目までの新入社員の36%が職場を「ゆるい」と感じているという実態を明らかにしました。
職場がゆるすぎても、きつすぎても「ここで長くは働きたくない」と感じる若者が増える傾向が伺えます。

これを日本経済新聞が、記事で取り上げ世の中に「ホワイト離職」現象が知られるきっかけとなりました。

では、なぜゆるいと辞めたくなるのか?

職場を「ゆるい」と感じている若者は、その会社を嫌いなわけではなく、
会社への評価は高いが「このままでは成長できない」という不安を強く感じている。

これは、心理的安全性は高いがキャリア安全性が低い状態で、
大企業の入社3年以内の若者の7割近くが「キャリア安全性」の低さを感じているようです。
大企業に入ったからといって、将来を楽観視できないのが今の時代の若者たちなのです。

職場がゆるすぎて辞めると聞くと、自分に自信があって他の会社で力試しをしたいと転職するような、
強い若者の姿がイメージされるが、実際は自信がある若者は少数派で、不安を抱える若者が多いようです。

この会社で、こんなプロジェクトでこんな成果を出したと言えるような実績がないまま年次だけ重ねていけば、
自分は価値のない社会人になってしまうのでは、そうなると転職しようにもどこにも拾ってもらえないかもしれない。
そんな不安が、今の会社に見切りをつけ、もっと成長できそうな環境へ移るという行動に走らせています。

ひと昔前の離職理由の上位は「賃金がよくない」「労働時間・休日・休暇の条件がよくない」
といったブラックな職場を想像させる理由が占めていました。

ところが、世の中全体で働き方改革が進み、
人材不足やパワハラ防止法の制定などもあって「若手に優しく」という意識が高まっていきました。
その結果、特に大企業では「心理的安全性」が高まり、
これまで隠れていた「キャリア安全性」の低さという問題が生まれてきました。

では、不安な若手を組織の戦力としていくには、どうすればいいのでしょうか。
「キャリア安全性」を高めるには、今担当している仕事の意味や評価のポイントを丁寧にし、
今後の成長やキャリアの見通しを持ってもらうことが重要となります。

また、客観的に見て「ゆるすぎる」状態ではいつまでも戦力にはならないので、成長につながる仕事を与えるべきでしょう。
仕事の渡し方が雑だと心理的安全性が下がってしまので、
やり方や目指すゴールを丁寧に伝え、適切なサポートをすることが必要です。

時間をかけて心理的安全性を高め、本音を言える関係性を作ることはもちろん大事ですが、
その関係ができる前に辞めていかれると元も子もありません。

社員の性格や心の状態などを診断するツールなどを活用するのも効果的で、
少子化で若手人材がどんどん希少になっていくからこそ、
いろんな手を尽くし若手の気持ちに寄り添いゆるすぎず適切に育てていくことが重要になってきています。

北見尚之

米の次は鰻が高騰するのか?!

こんにちわ。北見尚之です。

土用の丑(うし)の日を控えて「うなぎ商戦」が盛り上がっています。

「うなぎ商戦」を後押しするように、うなぎの稚魚「シラスウナギ」が記録的な豊漁で、
例年の15分の1程度の価格で取引されている地域もあるそうで、
今すぐうなぎが安くなるということはないが、秋からは値下がりするのではという見方もあります。

しかし、うなぎのビジネスにかかわる人々はあまり浮かれておらず、
それどころかコメの次に高騰するのはうなぎかもしれないや、
うなぎでこんなに稼げるのも今年で最後かもという悲観論まで出ているようです。

その理由は、ニホンウナギを含む世界のうなぎ全種をワシントン条約の対象に加える動きがあったからで、
ワシントン条約とは、絶滅の恐れのある野生動植物を保護するために国際取引を規制するものです。
シラスウナギは、不漁のときはかなりの高値で取引されることから「白いダイヤ」などと呼ばれています。
もしワシントン条約でその取引が規制されれば、価値がさらに高まる可能性もあります。

今、うなぎ専門店で国産うなぎのうな重を食べようと思ったら、少なくとも3000~4000円はかかるが、
ワシントン条約で規制されれば、価格が5000円、6000円に上がる可能性もあります。

これからうなぎの不漁が続き、さらに密漁も深刻になっていけば、
日本だけではなく国際社会でも「うなぎ保護」の機運が盛り上がっていきます。
事実、カナダでは2022年に許可された採捕量約10トンに対して約43トンのアメリカウナギの稚魚が香港に輸出されています。

何故、シラスウナギが「香港」に集められているか、それは中国が世界中で「白いダイヤ」をかき集めているからです。
中国産うなぎは、アメリカウナギの稚魚を世界中からかき集めてきて中国国内で養殖していますが、
かつてはヨーロッパウナギの稚魚も同じように集められていました。
しかし、中国があまりにも買い占めてしまうので、EUは2010年から自主的に輸出を禁止しました。

一方で、日本人が食べているうなぎの7割は中国産です。
世界的な和食人気で鰻の店舗も香港や韓国などの海外進出に乗り出していますが、それでも最大の消費市場は日本です。

つまり、日本人が牛丼チェーンやスーパー、コンビニで1000円くらいで「うな丼」や「うな重」を食べられているのは、
中国が世界中でなりふり構わず「白いダイヤ」をかき集めてくれているからです。

この状況で、本当にワシントン条約でうなぎの取引が規制されたら、
わずか1万6000トンしかない国内生産能力では、今の価格を維持することが困難になります。

2026年の土用の丑(うし)の日は、本物のうなぎは「高級品」で一部の裕福な人しか食べられず、
多くの一般消費者は加工品で、気分だけでも楽しもうとしているのかもしれません。

このような供給不足に直面したときの打開策として有力視されているのが、「完全養殖」です。
シラスウナギの卵から成魚まで育てる「完全養殖」は技術的には可能だが、コスト面などで実用化は難しいとされてきています。
しかし、この数年で実用化まであと一歩の段階まできています。

「完全養殖」に向けては、複数の企業がタッグを組み共同開発などを行っています。
また、国も動いていて世界で初めてうなぎの完全養殖に成功した水産庁は、
2024年時点で年間4万~5万匹のシラスウナギを人工的に生産できる技術を確立したと発表しています。
2050年までに、養鰻業者に供給する全てのシラスウナギを人工生産に切り替えることを目指しています。

最近では、和食人気の高まりもあり、鰻はは中国だけでなく欧米でも人気を集めています。
つまり、ニホンウナギが新たにワシントン条約の規制対象に加えられたら、
中国だけではなく世界中で「白いダイヤ」の争奪戦が激化する恐れがあるということです。

マグロが国際的な資源管理の対象となったように、こうした国際的な競争で日本は価格で買い負けることが少なくありません。
つまり、日本人が安くておいしいうなぎを食べ続けるには、
「完全養殖の実用化」を1日も早く確立するしか道はないとも言えるかもしれません。

そうなれば、中国も日本の消費者のために世界で「白いダイヤ」をかき集める必要がなくなり、
地球の生態系の観点からも良い結果となるでしょう。
世界的にも評価の高い日本の養殖技術が未来を切り拓いてくれると期待したいところですね。

北見尚之

ローソンの人気キャンペーンはなぜ続く?

こんにちわ。北見尚之です。

ローソンは、2025年6月14日で50周年を迎えます。
今回、創業50周年を記念し、6月3日から人気キャンペーンの「盛りすぎチャレンジ」を実施しました。
同キャンペーンにおいて最長となる4週にわたり、最大の商品数の計41品を価格据え置きで約50%増量して発売します。

ローソンは2023年2月、2024年2月と6月、2025年2月にも同様のキャンペーンを実施しており、
過去4回は47%の増量だったが、今回は50周年を記念して50%増量します。

ローソンでは近年、「ボリューム感」や「お得感」を打ち出した新商品を多く手掛けています。
その中でも、「盛りすぎチャレンジ」は既存商品のうちいくつかを期間限定で
「価格はそのまま、重量や具材などを増量」するという消費者にはうれしいキャンペーンとなっています。

キャンペーン期間中は1店舗当たりの平均客数が前年対比で約5%増加し、
ローソンが実施した他の施策と比較して、最も高い増加率を記録しているそうです。

ところで、なぜ価格を据え置いたまま増量する企画を考えたのか。
数年前から続く物価高騰により、コンビニ各社では、
さまざまな工夫を凝らした商品開発やキャンペーンを実施しています。

そんな中、ローソンはお得感だけでなく、
商品を見たときに「なんとなくワクワクする」「誰かに共有したい」と思えるような感覚を届けたいと考え、
少しでも日常の中で幸せや喜びを感じてもらえる商品、
周囲との会話のきっかけになるような商品をつくれないかと検討していたそうです。

そこで始まったのが、「価格はそのまま、重さは47%アップ」という今回のキャンペーンです。
47という数字には、全国47都道府県すべての人に、お得さや楽しさを届けたいという思いが込められています。

実際に本企画をスタートすると、想定以上の反響があり、
ローソンとしては十分な量を用意していたつもりだったが、品切れが相次ぐ事態になりました。

SNSでは「お得」「いいね」といった反応に加え、
通常の商品ではあまり見られない「面白い」「やばい」といった感想も寄せられました。
「もっと頻繁にやってほしい」「商品がもっと多いとうれしい」といった声に応えて、
開催頻度を当初予定の年1回から2回に変更し対象の品数を増やしていきました。

開催に当たっては、原材料の高騰に加え、製造や物流にかかわる“見えにくい”コスト増もあったそうです。
そのまま実施すると会社としては採算が取れない構造であるため、
どうすれば要件を満たしながらコストを削減できるのかを検討し、
盛り方や容器、仕入れの調整など、考えられるあらゆる工夫を凝らしてコストダウンを図りました。

もともと年1回の予定だったところを年2回に増やしたこともあり、
社内の各部署で準備に追われているようになっていきましたが、それでも継続して実施するのには理由があるようです。

加盟店のオーナーや従業員からも、「お客さまが笑顔で商品を手に取り、商品がどんどん売れていくのがうれしい」などの声が寄せられ、
この企画には、売り上げ以上の価値があるそうです。

また、ローソンとしては本キャンペーンをきっかけに来店した顧客が、
キャンペーン期間外にもローソンに足を運んでもらえることを期待しており、
実際に再来訪の顧客数は、データ上でも想定を上回っているようです。

毎回大きな反響があり、お得感だけでなく見た目のインパクトもあり、
例えば、人気商品の「プレミアムロールケーキ」は、キャンペーン期間中「盛りすぎ!プレミアムロールケーキ」となるが、
これは単にロールケーキを大きくしたのではなく、クリームがこんもりと盛り付けられた状態で、
ついSNSでシェアしたくなる人も多いでしょう。

ローソンでは、どうすればお客さまがわくわくする見た目になるかを議論しています。
味はもちろん、見た目にもこだわり、本当にうれしいポイントをできるかぎり逃さないように徹底しているそうです。

今回の6月3~30日は、5回目となる「盛りすぎチャレンジ」キャンペーンとなりますが、
今回はローソンの50周年とからめて、50%増量した商品を過去最多となる41品発売する予定で、
どのような見た目の商品が登場するのか注目したいところですね。

北見尚之