ファミマの「増量作戦」が初の春開催。

こんにちわ。北見尚之です。

ファミリーマートでは、創立45周年を記念して、
人気商品を価格据え置きで「45%」増量するキャンペーンを3月24日から開始するようです。
企画名は「うまくて、ドでかい! お値段そのまま なぜか 45%増量作戦」とし、
24日から第1弾、31日から第2弾を展開します。

恒例の増量キャンペーンが初めて春に実施される今回は、
これまでの40%増量から45%増量へと拡大し、
「豚ラーメン」や「のびーるチーズのコク旨ピザまん」など温かいメニューも加わり、
全14商品を『値段そのまま』で増量します。

この増量企画は、2021年の40周年を機に始まり今回が6回目となります。
これまでファミチキや弁当、サンドイッチなどの人気商品を、
価格はそのままで約40%増量して展開してきたが、
今回は45周年の45%増量とし、従来の8月から初めて春での展開になりました。

今回の企画を日常の暮らしの中でちょっとしたお得感を届ける施策とし、
45周年を記念して増量幅を40%から45%に引き上げたことに加え、
コンビニの増量キャンペーンをけん引してきた企画であることもアピールしています。

今回は初の春開催で、2週間にわたって全14商品を展開します。
1週目に8商品、2週目に6商品を発売し、このうち8商品が新登場となります。

年間売上1位の商品やロングセラー商品を初投入する点も注目で、
「生コッペパン いちごジャム&マーガリン」、「シャルドネ香るストレートティー」、
「こだわりカレー」、「大盛り明太子スパゲティ」など定番の売れ筋商品も増量企画に組み込まれています。

春開催ならではのポイントとしては、温かいメニューに挑戦した点で、
「豚ラーメン」、「のびーるチーズのコク旨ピザまん」をラインアップに加え、
春先の需要にも対応する構成となっています。

店頭だけでなく、「ファミマオンライン」でも、
「米沢牛サーロインステーキ」や「あまおうのクリームいちご大福」など、
内容量を45%増量した10商品をラインアップして展開します。

ファミリーマートは、売上も順調に推移しており、
2025年の増量キャンペーンは2021年比177%となる見込みで、
今回は店頭施策に加え、ファミマオンラインも強化しています。

ファミマオンラインでは、「米沢牛サーロインステーキ」や「ハーゲンダッツスペシャルセット」が、
通常よりもお得に買えるこのタイミングなので、自分へのご褒美で購入するのもいいかもしれませんね。

北見尚之

イケアの苦しい状況はなぜ?!

こんにちわ。北見尚之です。

家具小売店「IKEA」の原宿店と新宿店が2月8日に閉店しました。
IKEAは初の都心型店舗として原宿店を2020年6月に開業、そこからさらに渋谷、新宿と拡大してきましたが、
今回の閉店で、都心部では渋谷店だけが残ることとなります。

もともと国内では商業施設内出店を含めて現在14店舗しか展開してなく新規出店を断念した事例もあります。
決算によると2025年8月期は48億円ほどの営業損失を計上し、近年の業績は厳しく、
国内ではニトリの一強で、開拓に苦戦しているようにも伺えます。

IKEA自体は、世界中に約500店舗を展開し、
そのうち約400店舗を最大のフランチャイジー企業であるIngkaグループが運営しており日本法人も所属しています。

国内1号店は千葉県の船橋で、2006年に出店し、国内店舗の多くは大型店で迷路のような構造が特徴です。
北欧スタイルの家具を置き、ベッドフレームは2万円以下の商品もあり、ニトリと同様に低価格を売りにしています。

コロナ禍以降は都心型店舗を出店したものの、それまでは郊外で大型店を出店する方式をスタンダードとしており、
都心部の住民や車を持たない層との接点は少なく都心部に人口が流入していることを背景に、
消費者との接点を増やすことが都心型店舗の目的でした。

イケア・ジャパンは店舗ごとの業績を公開していませんが、今回の閉店は高い賃料がネックになった可能性があります。
ECにしても、大型家具は実店舗で見てから購入する「ショールーミング」を行う消費者が多く、
品ぞろえが限られる都心型店舗の効果は低くなります。

大型店の売場面積はいずれも2万平方メートルを超える一方で、
都心型店舗は最大の渋谷店でも4800平方メートルで、しかも近場での3店舗の出店は過剰だったかもしれません。

2020年までに大型店を14店舗出店する計画だったが、現在は10店舗にとどまり札幌市の出店計画が撤回されるなどもしています。
業績も芳しくなく、近年は売り上げが横ばいで推移し、営業利益も直近10年ほどはコロナ禍を除いて赤字が目立ち、
この2年で赤字が倍に膨らみ、店舗数を増やせないばかりか、既存店でも厳しい状況が続いています。

また、国内のIKEAが苦戦している背景にはニトリの強さも影響しています。
国内市場を押さえたニトリは国内では800店舗超を展開し、
近年の売上高は9000億円台を推移し営業利益率は10%を超えています。

以前の家具店は、家族経営の小規模店など店舗数の少ない地場のチェーンが主流でした。
こうした状況で2000年以降、ニトリは商品の均一性と安さを武器に全国的なチェーンを築きました。

ニトリと比較すると、IKEAは2人での組み立てを推奨する家具が多く構造も比較的複雑です。
ベッドのような大型家具では組み立てに2時間以上を要するものもあり、
そして店内の様子も、ニトリはどこに何があるか分かりやすいのに対しIKEAは迷路のような構造です。

両社とも低価格を訴求し、IKEAは北欧家具の色合いやデザインが特徴的ですが利便性には劣ります。
また、店舗はテーマパーク化しており小物以外何も買わずに出る客も多い。

国内の家具市場は、巣ごもり需要で伸びたものの、コロナ禍以降は物価高で買い控えが起き厳しい状況にあります。
市場が縮小する局面で、業績悪化が続くとIKEAにとって今後も厳しい状況は続くかもしれないですね。

北見尚之

人気企画の「盛りすぎチャレンジ」はまた開催。

こんにちわ。北見尚之です。

ローソンは1月27日から、全国の店舗でデザートや麺類などの増量の人気企画「盛りすぎチャレンジ」を
4週連続で開催すると発表しました。

2025年度に入って3度目の開催で、価格は変えずに内容量を約50%増やもので、
物価高で節約志向が強まるなか、お得感を訴えて来店動機を高めています。

「盛りすぎチャレンジ」は、具材や重量を創業50周年を記念して約50%増量しながら価格は据え置きで販売する恒例企画で、
今回で7回目の実施となり、今回は過去に特に反響の大きかった商品を中心に、
おにぎり、調理パン、調理麺、店内調理弁当、デザート、菓子など計35品をラインアップしています。

中でも、主力商品の「プレミアムロールケーキ」や「からあげクン」のほか、焼きそばやおにぎり、サンドイッチなどが
人気で商品はいずれも数量限定で、なくなり次第終了となります。

週替わりで商品が変わり、第1週は「盛りすぎ!プレミアムロールケーキ」、「盛りすぎ!ソース焼そば」、
「盛りすぎ!ポテトたまごサンド」、「盛りすぎ!高菜明太おにぎり」、「盛りすぎ!カツカレー(中辛)」、
「マチカフェ メガホットコーヒー」、「かむかむレモン 50%増量 46g」、「ハッピーターン 50%増量 119g」、
「ポテトリングスナック なげわ しお味 50%増量 93g」は発売されます。

長引く物価高を受けて、ディスカウントストアやスーパーに比べたコンビニの割高感は強まってい中で、
気温の低い日が続いて外出意欲も減退するなか、不定期の増量企画でお得感やワクワク感を提供したいとしています。

また、ローソンが発表した2025年3‐11月期の連結決算は、純利益が前年同期比6%増の558億円でした。
同期間として3年連続で過去最高を更新しました。

これは「盛りすぎチャレンジ」を中心とした販促キャンペーンで来店客が増えたほか、
揚げ物やクリームパン、デザートなどの販売も好調だったのが要因です。

売上高にあたる営業収益は7%増の9278億円、本業のもうけを示す事業利益は9%増の904億円でした。
いずれも過去最高を更新し、国内コンビニエンスストア事業に加え、
「国宝」のヒットで観客動員数が増えたエンターテインメント関連事業が伸び、金融関連や成城石井事業も好調に推移しています。

人工知能(AI)を活用した自動発注システムを全店に導入し、発注数や値引きの適正化も奏功し加盟店利益は約1割増ています。

さらに冷凍おにぎりを1月20日から北海道や九州7県でも売り出すと発表し販売エリアは全47都道府県に広がります。
食品の廃棄ロスにもつながる取り組みを通じ、加盟店の利益拡大とともに持続可能な成長を目指すと発表しています。

人気企画の「盛りすぎチャレンジ」だけに頼らず、さらに次の手を打っているあたりは、
さすが物価高で節約志向が強まるなかでも売上が伸びている会社は違うなって思いますね。

北見尚之

国内ビールシェア1位と2位の差とは?!

こんにちわ。北見尚之です。

国内のビール市場は、かつて圧倒的首位はキリンホールディングス(キリン)でしたが、
今ではアサヒグループホールディングス(アサヒ)が国内ビールシェア1位を獲得しています。

アサヒがキリンを抜いて約30年経ちますが、キリンは一度もトップの座を奪還できていないどころか、
両社の売上高や連結総資産額には大きな差が広がっています。

特にアサヒは、積極的な海外展開が業績を引っ張っており、ここ数年は売上高・営業利益ともにキリンを上回っています。
中でも顕著なのが、営業利益率の安定性で、アサヒはほぼ常に8%以上の営業利益率を維持しているのに対し、
キリンは年度ごとの変動が大きく、業績の変動幅が高い傾向にあります。


キリンは2019年から、医薬やヘルスケアにおけるグループ横断的な研究開発、買収、構造改革を行い、
その結果、個別事業セグメントでは利益が出ていても、連結ベースでは営業利益率が押し下げられてしまっています。

一方でアサヒは、セグメント利益率と営業利益率の間にほとんど差がありません。
これはアサヒが世界の各地域別に事業を展開し、各セグメントで損益をきちんと管理しているのが理由で、
親子会社間で発生する償却も少なく、利益を大きく押し下げる要因にはなっていません。

もともと両社は、日本国内のビール市場の成熟化という共通の課題に直面していましたが、
その打開策として採用した成長戦略は対照的で、キリンは、事業の多角化とリスク分散を重視する道を選びました。
医薬品事業に参入し、サプリメントなどを含むヘルスサイエンス事業を展開し、
酒類企業から「健康」を軸とした企業への転換を図っていきました。

一方、アサヒはアルコール飲料事業に集中し、それを武器にグローバル市場へと展開していく戦略を採用しました。
国内で培ったビール事業の強みを生かし、世界市場での拡大に経営資源を集中させています。


この戦略の違いは、M&Aへの姿勢にも明確に表れており、
アサヒの強みはM&Aを専門とする体制を組織的に整備してきた点にあります。
買収前には、現地に精通した専門家の下で徹底的な企業調査を行うことで、「高値づかみ」のリスクを抑えてきました。

また、買収後には対象企業が属する地域に統括会社を設け、買収後の組織統合を推進し、
現地の人材やブランドを尊重し、日本式の経営手法を一方的に押し付けるのではなく、現地に合った形で事業運営を行っています。

こうした現地化の徹底は難易度が高く、多くの企業がつまずくポイントですが、
柔軟なアプローチをしたことが、M&Aで成功を収めた最大の要因かもしれません。

一方、キリンはこうした体制面で課題を抱えおり、国内市場でアサヒに遅れを取っていたことから、
キリンは短期間での成長を目指し、M&Aを急ぎ、ブラジルやミャンマーといった新興市場への進出は、
一見すると合理的に見えるものの、買収前の企業調査や買収後の組織統合の準備は不十分だったのかもしれないです。

国内ビール事業におけるブランド戦略にも、アサヒとキリンの明確な違いが見られ、
現在では、国内のビール市場ではブランドが乱立しており、いかにプレミアム感を打ち出せるかが勝負の分かれ目となっています。

キリンのメインブランドである「一番搾り」で、認知度も高く品質への評価も一定以上得られています。
しかし、プレミアムモルツヱビスのように贅沢品としての存在感は弱く、
完全な定番にもなりきれず、プレミアムにも届かないという中途半端な立ち位置になってしまった印象があります。

一方で、アサヒの「スーパードライ」は、「辛口・キレ・高鮮度」といった特徴を武器に、
明確なポジションを確立し、圧倒的なシェアを背景に定番でありながらも、
プレミアム感のあるビールというポジションを長く守り続けています。

キリンは、新ジャンルや「淡麗グリーンラベル」など、革新性のある商品を数多く開発してきましたが、
2位とはいえ、国内である程度のシェアを維持し利益が出ていることから、
勝負をかけるような強烈なプロモーションは展開しませんでした。
そのため、どれだけ新しい商品を出しても、競合に追随されてしまい埋没する状況を繰り返してきました。

こうした状況が、キリンを非ビール領域であるヘルスサイエンス事業や医薬系事業などへの多角化に向かわせる一因にもなりました。
つまり、ビール事業での決定的勝利が見込めない中で、成長の軸足を他領域に移さざるを得なくなったのです。

今後の戦略としては、アサヒは世界的な需要構造の変化や、各地域の法規制・味の好みの違いに対応しながら、
グローバルブランドとしての価値をいかに維持・拡大し、企業としての存在感を強められるかが焦点となります。

一方で、キリンはファンケルなどの買収により、健康志向の製品を強化していますが、
最大の課題は「キリン=ビールの会社」という強固なイメージがあることで、
いかにして新たな企業像を浸透させられるかが、今後の成否を左右するポイントになると思います。

改めて両社の過去と現在の戦略を比較すると既に全く異なる方向へ歩み始めていることがわかります。
両社の進む先で、どのような成果を出していくのか今後も注視していきたいですね。

北見尚之

Web会議でカメラオンにする必要はあるのか?!

こんにちわ。北見尚之です。

今ではリモートワークは当たり前になってきましたが、
もしあなたが新入社員から「カメラオンにする必要なくないですか?」と言われたらどうしますか?

部内ルールが、原則カメラオンだったとしても
「理由が分からないんです」「ほかの新入社員も同じことを考えているかもしれません。でも口にしないだけで」
と言われそうです。

カメラオン・オフの問題は技術的な話ではなく、組織文化や人間関係の根本に関わります。
人間のコミュニケーションは「言語データ」と「非言語データ」があります。
「言語データ」とは言葉や文章による情報伝達で、
一方「非言語データ」とは表情、声のトーン、身振り手振りなど言葉以外の要素になります。

この新入社員は「言語データ」のみで十分だと考えていることになります。
つまり、発言内容や議事録などの「言語データ」さえそろっていれば、「非言語データ」は不要と判断しているのです。
確かに「言語データ」だけでも情報は伝わりますが、しかし組織とは情報だけを交換する場ではありません。

ではなぜ「顔」を見る必要があるのでしょうか。人間の脳は「顔」に強く反応するよう進化してきました。
赤ちゃんは生後わずか数時間で、人の顔のパターンに特別な関心を示すという研究結果があります。
つまり私たちは「顔」を見ることで、相手の感情や意図を読み取るよう生物学的にプログラムされているのです。

なぜ営業は顧客のところへ、わざわざ顔を出しにいくのか?
電話やメールで十分だと思う人はいますが、実際に「顔」を出したほうが成果は安定します。

とある事例では、中堅社員がひと月以上にわたってカメラをオフにしたまま参加し続け、
理由を尋ねると「自宅のプライバシーが気になる」とのことでした。

しかし、ある日その社員がカメラをオンにした途端、会議の雰囲気が大きく変わり、
表情や反応が見えることで、他のメンバーが彼の意見に積極的に応じるようになりました。
本人もそれを実感し、以後は背景をぼかす機能を使いながらカメラオンで参加するようになったそうです。

人間には、情報を受け取る際に優先的に使う感覚がありこれを「優位感覚」と呼びます。
これを知ることで、その人がどの感覚に最も敏感に反応するかを把握する手掛かりになります。

経営者や権威者は「優位感覚」を「視覚」という意見が多いといわれます。
なぜなら、常に会社のビジョンを頭に思い描いているからで、
常に未来をイメージして経営している社長や経営陣、幹部は「視覚優位」になりやすいのは当然かもしれません。

「カメラオフでいいじゃないか」と主張する人は、自分が「聴覚優位」だからかもしれないが、
会議にはさまざまな優位感覚を持つ人が参加していて、
多くの参加者が「視覚優位」ならカメラオフはコミュニケーション効率を下げることになります。

信頼関係の構築には「相互開示」が欠かせません。お互いの情報を開示し合うことで関係は深まります。
カメラオフは情報の「非開示」を意味することになり相手に自分を見せないことは、信頼関係構築の妨げになりかねません。


では、「カメラオンにする必要なくないですか?」の質問に上司はどう答えるべきなのか。
単に情報を交換するだけなら、確かにカメラオフでも構わないかもしれないが、
会議は単なる情報交換の場ではなく、信頼関係を築く場でもあります。
顔の表情から読み取れる微妙な反応は、言葉だけでは伝わらず、多くの人は「見る」ことで情報を理解します。

なので、
「君の表情が見えなければ、発言の真意が伝わりにくくなってしまう。
それに、顔を見せ合うことで相互理解が深まり、組織としての一体感も生まれる。
だから、できるだけカメラオンで参加してほしい」
などが良いかと思います。

Web会議の「カメラオン」は単なる形式やルールではなく、人間のコミュニケーションの本質に根ざした重要な要素です。
しかし、もっと効果的なのはオンラインではなく、リアルに集まることです。
顧客相手ならともかく、同じ職場のメンバーであればリアルで会う、そのほうがはるかに「非言語データ」を相互に開示できます。

もし言語データのみで意見交換をしたいのなら、Slack、Chatworkなどのビジネスチャットのほうが断然効果的です。
「チャットは慣れていないんで」などと上司が言い訳するのなら、
新入社員から「カメラオンする必要なくないですか?」といわれても何も言い返すことはできません。
単に自分が慣れているコミュニケーションスタイルに新人を合わせようとしているだけで、
そんな自分本位の姿勢は、今の時代では支持されません。

現在はマルチコミュニケーションの時代で、目的やシチュエーション別に合わせられるよう、
新入社員だけでなくベテラン社員も上司も色々なツールやコミュニケーションに慣れていかなければなりませんね。

北見尚之

なぜ日本の働き方は「時間軸」から抜け出せないのか?

こんにちわ。北見尚之です。

最小限しか働かない自由が注目される一方で、もっと働きたいと考える人も当然いるでと思います。
もっと働きたいという人の中には、仕事が好きで本心からそう思っている人もいれば、
生活のために働かざるを得ないという人もいるはずです。

働くことへの向き合い方は、人それぞれです。
仕事が嫌で仕方ないという人もいれば、仕事が好きで長時間働いても苦にならないという人もいます。

しかし、もっと働きたいと望む人が皆、仕事が好きで楽しんでいる人とは限りません。
本当は仕事が嫌いでも、もっと働きたいと望む自己矛盾したケースもあります。
より多くのお金を稼ぐ必要があるため、働かざるを得ない状況に置かれている人です。

自分が生活費を稼がなければ家族を養っていけない場合、いまの収入で足らなければ、
もっと仕事をするしかありません。
心から働きたいわけではなく、義務感や責任感からそう思っている、
あるいは自身の意思による選択の余地すら与えられていない状況に置かれている人は一定数います。

一方で、心の底から仕事が楽しくて仕方がないという人もいます。
仕事を楽しいと感じている人は、時に労働時間の規制を邪魔に感じることがあるかもしれません。
本心から働きたいと考えている人にとっては、時間を気にせず仕事できる環境が望ましいはずです。

意欲ある人には思う存分仕事に集中してもらい、人手不足の解消に寄与してもらうことには一定の意義があります。
もし、本心から働きたいと考える人だけ抽出して適用できるのであれば、
労働時間規制の緩和も有効な選択肢の一つになるかもしれません。

ただ、労働時間規制の緩和には注意点しなければならない点もあり、
1つは、本人が自らの意思で働くことを選択し、元気なつもりでいても、
働き過ぎがいつのまにか心身を疲弊させて健康を害する事態も想定されることです。

もう1つは、家庭にかかる工数です。
どんな家庭でも、家事や育児、介護といった工数は必ず発生します。
一方で共働き世帯は徐々に増え、いまや専業主婦世帯の約3倍ですが、
性別役割分業の見直しが進みつつあります。
必然的に、これまでのように仕事にだけ100%の時間を費やして専念することが容易ではなくなってきています。

自分以外に家のことを全て担ってくれる人がいなければ、寝食を忘れるような働き方はできません。
家族と分担してこなすとしても、仕事に没頭しながら家のことまですれば、
睡眠時間などが削られて健康状態を悪化させる懸念もあります。

ただ、働き手自身が無理しないように心がけさえすれば、適度な休息を確保することは可能です。
また、少なくなっているとはいえ専業主婦や主夫世帯であることが最適というバランスのご家庭もあると思います。
働くことが好きな人が、健康を維持しながら仕事に没頭できるかどうかについては、
家庭内での工夫次第である程度制御できる面があります。

それに対して、もっと働きたいと言いながら、働かざるを得ないのが本音というケースについては事情が異なります。
働きたい理由が自発的なものではなく、必要な収入を得るという外部要因であるため、
働き手自身の心がけや家庭内の助け合いでは対処のしようがないからです。

闇雲に収入が増やせるようにと労働時間規制を緩めてしまうと、
せっかく生まれた長時間労働是正の流れに逆行し、これまでの政策が台無しとなってしまう懸念があります。

労働時間を10%伸ばせば、得られる給与もその分増えるのは間違いありません。
しかし、問題は「給与増=時間増」という時間軸ありきの思考が、
職場の中で疑いもなく受け入れられてしまっている点です。

もし、時間当たりの単価を10%上げることができれば、労働時間を変えずに給与を10%増やすことができます。
逆に、給与を維持したまま労働時間を10%減らすことも可能です。この考え方こそが、本来の働き方改革に他なりません。

時間単価を上げるには、より短い時間で高い成果を出せるよう文字通り働き方を変える必要があります。
ただし、社員に過度な緊張感を与えるなどして働き手により多くの負荷をかけることで、
気合や頑張りといった労力をダッシュさせてしまっては疲弊してしまいます。
変えるのは業務の進め方であり、仕組みの工夫改善によって、成果が出るスピードを加速させていくということです。

時間当たりの成果を増やして生産性が上がれば、給与の時間単価も引き上げられます。
それをどう実現させていくかに、工夫と知恵と労力を注ぎ込むことが求められます。
生産性の向上なくして給与を引き上げられるのは余力がある会社だけですし、
生産性向上が伴わなければ、やがてその余力にも限界がきます。

時間は有限であり、決して無尽蔵な資源ではありません。
働き方改革で求められるのは、限られた時間の中で出せる成果をいかに高められるか。
成果軸ありきへと切り替えることなく、労働時間規制の緩和か強化かといった時間軸ありきの視点に立っている間は、
いつまでたっても働き方の根本的は変わらずとなってしまいそうですね。

北見尚之

「うどーなつ」販売に至る背景とは?!

食品業界では、商品の特性上、廃棄ロスは長年の課題です。
しかし近年、独自の取り組みによってこの課題を克服しつつある企業があります。

その一つが、うどんチェーン大手の丸亀製麺です。
丸亀製麺は、2024年に新商品「うどーなつ(UDONUTS)」を発売しました。
うどんの生地を活かしたドーナツ風の商品で、販売開始から大ヒット商品となりました。
公式には「新鮮なうどん生地で作る」としており、店舗で余った麺そのものを再利用したわけではありません。
ただし、うどんの素材を新たに活かす発想から、食品ロス削減の啓発にもつながったと評価されています。

同社の食品ロス対策は「うどーなつ」だけにとどまらず、
・茹で麺管理表を用いて過去データを分析し、最適な調理量を算出
・経験の浅いスタッフでも効率的に調理できる仕組みを整備
・廃棄された麺を豚の飼料に再利用するリサイクルループを構築
・店舗への生ごみ処理機導入も推進
これらにより「できたてのおいしさ」と「廃棄削減」を両立させています。

丸亀製麺の「うどーなつ」は、製麺の際に余った麺生地を有効活用するために考案されたメニューで、
製麺工程で余った麺生地を無駄にせず、おやつとして提供することで食品ロスを減らす取り組みの一環となっています。

しかし、実は「うどーなつ」は食品ロス対策だけで販売されたものではなく綿密な戦略を立てて販売されました。
「うどーなつ」は、うどん店が店舗で手づくりドーナツ、しかもうどん粉からできている、
独自のもちもち食感、といった驚きを提供すると予定調和を外した商品になります。

これにドーナツ市場も敏感に反応し、25年6月にはミスタードーナツがもち粉と米粉を使用した「もっちゅりん」を発売、
店舗に行列ができるほどの大ヒット商品になりました。
「うどーなつ」は、食感にこだわったドーナツという市場を盛り上げるきっかけにもなったかもしれません。

丸亀製麺マーケティング戦略の軸は「人のぬくもりある食体験」「驚きとわくわく」の2つを提供することです。
生活者調査から捉えたこの2つのインサイトに、エンターテインメント性、人の力、五感への訴求を掛け合わせているのが、
丸亀製麺マーケティングの強みで、これを体現する施策として、
「うどーなつ」の販売、麺職人の全店配置、オープンキッチンでの調理、ワカメなどのトッピングの無料提供が生まれました。

「うどーなつ」販売の背景には、女性・子ども・若年層を新規顧客として獲得したいブランドの狙いもあり、
これを丸亀製麺マーケティング軸にのっとって実現する施策として最も効果が高いと見込んだのが「うどーなつ」です。

結果、発売から3カ月で約700万食を突破する史上最大のヒット商品となり、
25年9月には2000万食を販売しており、うどんや天ぷらといった主要商品の間接的な売り上げにも貢献しています。

加えて、従来であれば小腹がすいたときにコンビニエンスストアファストフード店に足を運んでいた人たちの来店動機になり、
午後3~6時というアイドルタイムや夜にも集客できるようになりました。
生活者が商品やサービスを思い出し、ブランドを選択してもらう入り口となるジャンルを新たに設けることに成功し、
狙い通り女性や子連れのファミリー層、若年層といった新規顧客層の来店が増えました。

どんとドーナツという、一見意外な組み合わせですが、うどんを活用した新しい市場の開拓をし、
丸亀製麺ならではの体験を掛け合わせ、ドーナツという発想が生まれました。

フードロス問題の解決も大事ですが、改めて新たに市場を開拓する挑戦を続けていくことが重要だと思い知らされますね。

北見尚之