変わりつつある老舗旅館やホテル

こんばんわ。北見尚之です。

訪日外国人観光客に年々増え地方の旅館やホテルの経営が変わりつつある。
将来が見通せないなど日本人オーナーが手放した施設を外国資本が購入するケースが相次いでいる。
中でも高額取引を持ちかける中国人の手に渡ることが多く、経営を大きく変化させる施設も現れている。

現在、地方旅館の多くは経営者の高齢化に加え、施設の老朽化や蓄積された過剰債務などから廃業の危機にさらされている。
厚生労働省によると、国内にある旅館は約4万軒だが、その数は減少傾向が続いておりここ10年を見ても1万軒以上が廃業している。
その中で昨今激増しているのが、外国資本による国内旅館の買収で、特に衰退が進む地方は草刈り場に近い状態に置かれつつある。

買収に関する問合せの約9割は中国人で、彼らは日本人客が減って経営に行き詰まる地方の旅館でも、中国から観光客をどんどん連れてくることで十分稼げると踏んでいる。
とある旅館では売却後に様変わりし、中国人ツアーを乗せた大型観光バスが到着するようになる。宿泊料金は1泊3千円に値下げされ、8畳間に4-5人を泊まらせるなど詰め込みが目立つようになった。
当時ホテルで働いていた関係者からは客室の稼働率が大きく向上したが、日本人客には敬遠されるようになったという。
中国人が購入旅館を自ら経営するケースでは、これまで当たり前だったサービスにも変化が生じることも。理由は客室稼働率を上げるため宿泊料金の大幅な値下げをするからである。
経費削減の対象にされやすいのは食事です。日本の温泉旅館では夕食付きが多いが経営変更後は夜は外食でとなり1泊朝食付きとなる。

また、これま訪日外国人観光のゴールデンルート内にあった中国人の投資意欲はそれ以外にも広がりつつある。
訪日外国人観光は、ゴールデンルート以外の観光地にも素晴らしいところが多いと気づいたからだ。今は全国の老舗旅館やホテルに関心が向いており、
最近は箱根や草津が人気。相談にやってくる中国人はこれを手始めに投資先を増やしていこうとしていることが多く東京五輪以降もこの投資熱は続く勢い。

最近では、訪日した際に知人などを呼び寄せたいという個人投資家が「ゲストルーム」の感覚で老舗旅館を買収するケースもある。
実質的経営はこれまで通り日本人に任せるケースもあり、こうした場合は高級感や伝統的サービスは維持され客層は国内外の富裕層となる。
今後はよく通っていた旅館がいつの間に中国人オーナーに変わっていたなんていうこともあり得そうです。

経営が変わろうが伝統が維持されるのであれば賛成だが合理化や経費節減が進み、本来の老舗旅館の味わいなどがなくなるのは寂しいですね。

北見尚之