「ファン」心理の暴走

こんばんわ。北見尚之です。

先日にプロ野球選手で中日ドラゴンズ松坂大輔投手がファンに腕を引っ張られ負傷することが起こりました。
事態はファンサービスで花道を歩いている最中に起き松坂投手はその影響で古傷を抱える右肩を痛めてしまいキャンプからの離脱しました。
診断の結果、右肩の炎症とわかり2週間はボールを投げれない調整となり開幕での1軍は絶望的となりました。

ファンはそもそも怪我をさせようと思っていたわけではないでしょう。わざわざキャンプ地まで出向いているので純粋に応援したい気持ちだけだったことでしょう。
しかし、結果的には松坂投手と中日に大損害を与えることになりました。

ファンはなぜこのような行動を取ってしまったのか。
ファン心理にとっては松坂投手に対する変な親近感があったのかもしれません。

まずは単純接触効果で、目にする機会が多い選手だけに親しみを覚えやすいという現象です。
「平成の怪物」と呼ばれ高校卒業後から20年にわたって活躍しているとファンにとっての親近感は大きくなります。
ただし、尊敬の対象であれば心理的な距離の近さと遠慮で物理的な距離で程よい距離感になります。
スポーツ選手は私たちにはない特殊な能力がありアスリートなのでで、本来であれば尊敬の対象になるはずですがなぜか遠慮のない距離になってしまった。

遠慮のない距離には群集心理と匿名性が作用されます。群集心理は周りの群衆の影響を受け安易に場の雰囲気に流されてしまうことです。
人は社会を作るために同調や協調という能力を得て、このおかげで組織だった行動が取れますが場の雰囲気が正しくない方向を向いても逆らえずに流されてしまいます。

誰かが尊敬しない雰囲気を作ってしまうとそれが場を支配し同調の効果で心はその雰囲気に流されます。
こうして本来は尊敬している選手に対して遠慮のない態度が取れてしまいます。
責任が群衆に分散され自己責任を意識しなくなり匿名性が高い心理状態で無責任な行動に出てしまいやすくなります。

あとここに副作用のように「自分は素晴らしい」や「自分はすごい」という錯覚も相まってきます。
この錯覚に酔いしれると私たちは高揚した心理状態になってとても気持ちよくなり酔いしれてしまうと癖になります。
ただでさえ現代社会では、私たちはこの錯覚に浸るタイミングはほぼありません。
社会では競争も厳しく、格差社会も広がる中では錯覚に酔いしれるチャンスに飢えている人が増えているかもしれません。

スポーツというのは誰もが評論家気分を味わえます。その中で一部のファンには上から目線の偉そうになって錯覚を楽しむ方もいます。
この錯覚は人を蔑めばますます気持ちよくなるという性質を持っています。

このようにいくつかの事象と心理から妙な親近感を生み遠慮のなく危険な行動に結びつく可能性があります。
ファンは尊敬のあまり残念なところにも注目することはあるかもしれません。厳しいことを言うのは愛情の裏返しで尊敬する思いをなくしてはなりません。

なかにはアイドルを応援する人たちの間で先輩ファンが後輩ファンにマナーを教える文化が根づいていたりします。

実際にはいろいろなシーンでファンの態度に残念に思うことも多々あります。
日本の中に巣食うファン心理や文化として本当に応援する姿勢や態度が本質的にはその業界を活性化させる大事な部分ではないかとも思います。

北見尚之