こんにちわ。北見尚之です。
一昔前は、タダで飲める水を買うことへの抵抗やもったいないという印象が強い時代もありましたが、
今となってはミネラルウオーター市場が伸びに伸びています。
国民1人当たりの年間消費量を見ると、2023年は40.2リットルで、5年前と比べると8.5リットルも増加しているとのこと。
国産の生産数量も前年を大きく上回っていて、4連続で過去最高を記録しています。
ミネラルウオーターを飲む人が増えている理由には3つの要素があり、
1つめは健康意識の高まりで、糖分やカフェインの少ない飲料を好む傾向があり、
こまめな水分補給を心がける人が増えていることが大きいです。
2つめは、災害時の備蓄需要です。
2011年の東日本大震災以降、地震や豪雨の災害が続いていることもあり、ミネラルウオーターの備蓄が進みました。
3つめは、年々高まる猛暑です。かつて数年に一度「今年は冷夏」と言われていたこともありましたが、
昨今の夏はとにかく暑く、35度以上の猛暑日が増えたことによって、水を持って外出する人も増えています。
この3つの理由で、ミネラルウオーター市場が盛り上がっているとも言えますが、
最も売れているブランドは「サントリー天然水」です。
2023年の年間販売数量は1億3830万ケースと過去最高で、天然水のラインアップは、
2L、1L、550ml、280mlがあるが、1Lタイプの形状が新しくなりました。
1Lタイプは家庭向けの中容量サイズとして販売していて、カタチは横幅が広く体形で例えると「ぽっちゃり」でした。
持ち運びを重視するのではなく、家の冷蔵庫で冷やすことを考えると、この姿が適していたのですが、
サイズは、幅は90ミリ→72ミリ、高さは230ミリ→262ミリと横幅が痩せただけでなく、高さも伸びました。
これは、「サントリー天然水」の中で売上が不調ではなく、1Lタイプは前年比70%増なので、むしろ好調です。
1Lタイプの形状変更の背景には、何人かの外国人観光客が背負っているリュックのサイドポケットに、
ミネラルウオーターが刺さっていて、中には1Lのぽっちゃりタイプが入いて、
大きさ的に強引に詰め込んでいる様子を目にしたこと始まりだそうです。
外国人は大きいサイズのペットボトルを持ち歩いているので、夏の暑さを考えると、
国内でも1Lサイズを持ち運びたいと思う人は結構多いのではと予測したそうで、
コンビニの購買データでは、売り上げのピークは朝で、その後は下がって横ばいが続き、
この動きは、個人向けの550mlと同じになるそうです。
ということは、会社員などが出社する前に購入し、ペットボトルを机の上に置いて、
1日かけて飲み切る人が多いのではないか、
大学生の場合、授業が始まる前に購入して、学校が終わってもバイト先でそれを飲んでいるのではないかとの仮説が生まれました。
であれば、直接飲みのニーズを考えれば、ぽっちゃりよりも細くしたほうが時代にマッチしているはずと考え、
サイズを大幅に変更したそうです。
また、太く短くから細く長くしたことによって、運搬時の積載効率がアップし、
1パレット当たりの積載数が、50ケースから60ケースと輸送効率が1割ほどアップしたそうです。
商品開発やリニューアルには、表面的には見えない消費者のニーズなども相まって、
当事者は膨大な苦労などあると思いますが、こういう商品開発の裏側を目にすると面白いもんですね。
北見尚之