大手回転寿司チェーンが強気の値段設定?!

こんにちわ。北見尚之です。

くら寿司が4月25日に銀座エリア初となる店舗「グローバル旗艦店 銀座」を出店したそうです。

グローバル旗艦店は、国内6店舗目で通常店舗より和を意識した内装となっているようです。
浮世絵や提灯を付けた屋台など、SNS映えを意識した装飾も目立ち、
3貫で1200円の「特撰三貫『銀座』」のように、店舗限定メニューは強気の値段設定となっています。

銀座店は、銀座エリアの有楽町駅にほど近い「マロニエゲート銀座2」の7階に構えています。
内装はこれまでに出店した国内5つのグローバル旗艦店と同じく、
白木をベースとした内装で、大きな屋根を設置しているのが特徴です。

入口付近には浮世絵のレプリカを展示し、海辺で人々が屋台を楽しむ姿を描いたものもあり、
屋台では当時のファストフードである寿司のほか、天ぷらや団子などを販売していました。

銀座店には、浮世絵の世界を再現したコーナー「くら小江戸」を設けており、
くら小江戸にはそれぞれ寿司・天ぷら・団子を提供する3つの屋台があり、
夜空をイメージした壁には電飾の花火もあり、SNS映えやエンターテインメント性を重視している姿勢がうかがえます。

3つの屋台では銀座店限定のメニューも提供していて、注文は各席にあるタッチパネルから行い、
料理が完成するとタッチパネルで通知がきて、自分で屋台に取りに行く仕組みです。

店舗限定メニューはかなり強気の価格設定なっており、みたらしや白あんが乗った団子は150・200円ですが、
握りメニューは従来の回転寿司とは思えない価格で、まぐろや車エビなど握り5貫とカステラ玉子焼が乗った
「特上にぎり 蔵-KURA-」は1800円、まぐろ・車エビ・すずきの「特撰三貫 銀座」は1200円です。
天ぷらも高めの価格帯で、徳島のアシアカエビや真あじなどが乗った「特上天ぷら盛り」は5個で1300円となっています。

もちろん通常の寿司メニューもあり、銀座店の場合は1皿150円~とやや高めの設定になっています。
くら寿司の最も安い店舗は1皿110円~で、銀座店が特段高いわけではなく、
150円以上の店舗は浅草や池袋、大阪・梅田など他にも約20店舗あり、
立地を考えれば妥当といったところでしょう。

実際に寿司ネタがレーンを流れる「リアル回転寿司」も健在で、2023年1月にスシローで起きた迷惑事件以降、
大手回転寿司チェーンはレーンで寿司ネタを流すのを取りやめ、注文品や高速レーンのみとする動きが進んだ一方で、
くら寿司では銀座店を含め、通常店でも商品をレーンで流し、大手チェーンでは唯一とうたっています。

こうしたスタイルを堅持する背景については、Z世代を中心に若年層の需要と、
エンターテインメント性を重視などの理由を挙げていて、抗菌カバーで衛生面を確保し、
不振な動きを察知するAIカメラで迷惑行為への対策も講じるなどしています。

くら寿司は、サイドメニューが豊富で景品システムの「ビッくらポン!」を導入するなど、
子供ウケを狙ったような施策が見られ、ファミリー層やインバウンドをターゲットとする上で、
レーンで商品を流すエンタメ性は欠かせないというこのなのでしょう。

一部の強気な価格設定については、従来のグローバル旗艦店のインバウンド比率は約5割あり、
銀座店はそれ以上になりそうだとのころで、やはり高い価格設定や演出性のある内装は、
少なからずインバウンドを意識していることでしょう。

立地的にも、今回の銀座店がインバウンドをターゲットにしていることは明らかで、
出店したマロニエゲート銀座2にはユニクロダイソーが出店するなど、
インバウンドに人気の日本らしいテナントが入居しています。
中でもユニクロの店内は外国人の姿が目立ち、こうした店舗の来店客が、
くら寿司も利用する相乗効果を期待しているのかもしれません。

大手飲食チェーンで、インバウンドに特化する動きは珍しいですが少しずつ出始めているそうで、
近年では吉野家がインバウンドをターゲットにしたような商品を出しており、
観光客が多い約100店舗で「鰻重牛小鉢セット」を提供していて、値段は鰻2枚盛りで2338円です。
築地銀だこを運営するホットランドも、天ぷら専門店「日本橋からり」など
さまざまな業態店をインバウンド需要が期待できる観光地で出店する方針です。

くら寿司も売上高こそコロナ禍以前の水準を上回っているが、2023年10月期の営業利益は2019年10月期を下回ります。
インバウンド店には高い利益率が期待できますが、飲食業態は人流回復で売り上げが伸びているものの、
原材料費や人件費の高騰で利益は圧迫されている状況です。

収益の確保を目的として、今後は大手飲食チェーンによるインバウンド特化型店舗の出店や、
対象メニューの提供がどんどん増えていくのかもしれないですね。

北見尚之