出来ないマネージャーとは?

こんにちわ。北見尚之です。

 

日本はマネジメント後進国とも言われています。
マネージャーのもっとも基本的なタスクは「判断すること」で、ビジネスには不測の事態や想定外の出来事はつきものですが、
そんなときも、マネージャーはなんらかの判断をくだす必要性に迫られます。

 

犯人探し的な、「なぜこんなことになった」「責任者は誰だ」などはマネージャーとして最悪のアプローチです。
まずやらなければならないことは、「なにがあったのか?(What・客観的な視点)」と「 どうすればいいのか?(How・次の行動)」です。
これは、「起きてしまったことは仕方がない」といったん失敗を許容する考え方でもありますが、
「なぜ起きた」や「誰が」は後回しにして、すぐに現状把握と次のアクションを考えるのが鉄則です。

 

しかし、日本では誰かのせいにしたがることが多く、それは「責任の範囲が明確になっていない」からです。
マネジメント先進国では、責任の範囲が最初からとても明確です。
責任範囲が明確だからこそ、メンバーは失敗を恐れることなく、
成功に少しでも近づけるためにどんどんトライしようと考えることができます。

 

その代わりに、なにかを達成したときの手柄も明確で、たとえ新入社員であってもオーナーシップがある仕事は、その人物が手柄を総取りします。
でも、日本企業ではみんなで手柄を共有するかのように振る舞いながら、結局はなにもしていない「管理職」が取ることが多くあります。

 

小さな失敗を許容することを習慣づけられれば、大きな失敗に発展する前に修正することができます。
また、小さな失敗をどんどんして多くの学びを得られれば、大きな変革にも繋がっていきます。

 

また、リソース配分を最適に配置することもマネージャーの重要なタスクになります。
そのためには、チームの一人ひとりの能力や適性を見極める必要があり、
だからこそマネージャーには、高度なヒアリング能力が問われることになります。

 

「モチベーションを上げていこう!」などで鼓舞をすることは、マネージャー業としては失格になります。
モチベーションというのは、他者が手を加えて上がるものではないからです。
上から命令したからといって、部下のモチベーションは上がりませんし、マネージャーの立場にいる人間は、この事実をまず理解すべきです。
たとえ結果的に上がったように見えても、「人のやる気というのは、人によっては変わらない」ことを前提に考えるべきです。

 

マネージャーがやらなければならないのは、士気が上がる環境を整え、チームの力を阻害するものを外していき、
メンバーが伸び伸び仕事ができる環境を整えることが重要な仕事となります。

 

ですが、日本の企業ではマネージャー自身がブロッカーになっているケースが実はとても多くあるそうです。
典型的なのは、部下に対して「数字を上げろ」「書類をつくれ」など、ただ命令や指示ばかりしているタイプで、
本質的には人に対して命令する権利などマネージャーにはありません。

 

デキるマネージャーは、指示や命令をしているように見えても、それはあくまでもリソースを最適に配置した上で、
いわば開始ボタンを押しているだけで、人を自由に動かす権利までは与えられていません。

 

なのになぜ、そのようになってしまうのかは、日本企業のマネージャーが現場で結果を出した人への名誉として、
マネージャーの肩書が与えられているケースが多いからです。
さらに、多くの企業では給与の階層が役職の昇降格と一致しているので、一定以上の給料を払うためには役職をつけることが必須になっているのです。

 

プレイヤーとしては優れていても、マネジメントの適性がない者がその役職につくと、チームが崩壊する危険性もあります。
しかし、当の本人は名プレイヤーだった成功体験があるので、部下やチームメンバーに対して「なんでできない」などと言い出しかねません。

 

では、出来る上司とは何なのか。それは「全体が見えているかどうか」です。
チームのいまの状態や向かう先といった全体像が見えていないから、細かいミスばかりが気になり、すぐに誰かを追及して保身に走ります。

 

さらに、最悪なのは部下と競争するマネージャーで、これは絶対にマネージャーになってはダメなタイプです。
部下の能力を認めなかったり、それに嫉妬したりするマネージャーは、確実にマネジメントに向いていません。

 

マネージャーになるとプレイヤーとして働くことができないので、プレイヤーとしての体験が抜けなければストレスが溜まります。
加えて、本人にマネージャーの資質がなければ、「昔の俺はな」的なことを言い出し、
過去の成功体験の中でしか生きられない人間には、それ以上の成功体験が増えず、早いうちに終わりがやってきます。

 

もちろん、マネージャーがプレイヤーの気持ちを理解することは必要だと思います。
プレイヤーがどうすれば快適なのかを考えるとき、もちろんプレイヤーだったころの経験を活かすことができるでしょう。
その意味ではプレイヤー気質を持つのはいいのが、それを言動で表したらいけません。
サポートのためにプレイヤーの一面を出すのはありですが、対立軸で出すのは最悪で、
マネージャーがチームメンバーと競争して成立するチームなんてなかなかありません。

 

マネジメントする立場の人間は、メンバーを下げて自分が上にいこうとしてはいけません。
どんどん上を目指すメンバーがいたら、マネージャーは労を惜しまずに必要なサポートはなんでもしてあげるようになればいいのだと思います。

 

北見尚之